


そもそも、そんな人生の最期のことなんて、
「縁起でもない!」と思う人がほとんどではないでしょうか。
なぜでしょう? 興味深いデータを紹介します。

医療の高度化もあり、だんだん死因が変化して、平均寿命も長くなってきました。
昔は「急に」訪れる死が多かったから、「縁起でもない」として死がタブー視されてきました。
それが今でも残っています。医療が発達し、長寿を楽しむ時代となった今は、
「どうやって最期を迎えるか」の選択について考えることができる時代。
今は、死をタブー視するのではなく、死について話し合っておくべき時代なのです。
「ゆっくり」訪れる死が多いのであれば、特に長寿県の私たちにとっては、
急いでこの会議をする必要はないように思えます。健康で元気な時にわざわざやらなくても、
「いざ」という時でもいいのではないでしょうか?


しかし、この人生会議を「いざ」じゃなく「いま」するべき理由がある。
年齢が若くても健康体であってもするべき理由が…
-
若くても、健康でも、命に関わる大きな病気やケガに見舞われる可能性は誰にだってある。
-
重篤な状態になると、約70%の人がこれからの医療やケアなどを自分で決めることや、望みを人に伝えることができなくなると言われている。今は会話ができていても、いつ話せる状態じゃなくなるかは分からない。
-
自分の望む医療やケアについて、事前に相談したり、書き留めたりして共有しておかないと、もしもの時に本人に代わって誰かが決断をすることになる。万が一の事態に備え、自分の望む最期の過ごし方ができるように、日頃から気持ちや価値観を家族などの信頼できる人と共有しておくことが大切。
-
入院して積極的に治療をしたいと思うのか?自宅で大切にしていたことを優先して過ごしたいと思うのか?家族に迷惑をかけたくないから施設に入居したいと思うのか?夫婦であっても、親子であっても、本人じゃないと分からないことだってある。
どこで最期を迎えたい? 自宅?病院?施設?
-
「早くから話していればよかった」と後悔している人が多い。
- ●「最期を迎えるときに受けたい医療・ケアについて、ご家族同士や医療・介護従事者などともっと早くから話し合っておくべきだったと思うか?」
…「そう思う」71.2%(1位) - ●「いつ頃から話し合っておくべきだと思うか?」
…「 年齢は関係ない(できるだけ早いほうが良い)」
38.1%(1位)
※令和6年度第7回しまねweb モニターアンケート(島根県民に対して行ったアンケート調査) 自分の病気・介護、家族等の病気・介護などの“きっかけ” があった方を対象に聞いた項目
- ●「最期を迎えるときに受けたい医療・ケアについて、ご家族同士や医療・介護従事者などともっと早くから話し合っておくべきだったと思うか?」
「いざ」という時ではなく、若くても、健康で元気でも「いま」この「人生会議」をするべき
理由については分かったが、具体的にどのように会議をすればいいのでしょうか?
「人生会議をしよう!」となったら確認すべき“5つのポイント” を紹介します。
-
自分が希望する医療やケア・生活に関する想いなどを、ご家族などの代わりに判断する人や医療者・ケアチームなどと話し合う。紙に書くだけでなく、対面で話し合うことで、お互いの理解が深まり、自分の想いを伝えられなくなった時に、代わりに判断する人が本人の気持ちについて考えやすくなる。
- 「最期を迎えるときに受けたい(受けたくない)医療・ケアについて、ご家族同士や医療・介護従事者などと詳しく話し合っていると思うか?」
- 詳しく話し合っている 2.9%
一応話し合っている 24.6%
話し合ったことはない 72.3%
※令和6年度第7回しまねwebモニターアンケート
(島根県民に対して行ったアンケート調査)
-
自分の治療やケアについて、どんな手段があるのか、今後どうなっていくのか専門職と相談する。どういう治療やケアができるのか、その治療・ケアで将来どうなっていくのか、主治医などと相談したり、人生会議(ACP)に関する情報を得たりして学び、どうしていくことが自分にとってベストなのか考える。
- 「最期を迎えるときに受けたい(受けたくない)医療・ケアについてどのような情報源から情報を得たいと思うか?」
- 1位 医療従事者 83.8%
2位 介護従事者 54.2%
3位 メディア 25.1%
※令和6年度第7回しまねwebモニターアンケート
(島根県民に対して行ったアンケート調査)
-
「これからの希望は?」「自分にとって何が大切?」といった希望や想いについて考える。家族などの自分の代わりに判断する人が判断しやすいように、受けたい・受けたくない治療やケアのこと、大切にしている想いなどについて考える。
- 「 自分が最期を迎えるとき、どんなことが大切だと思うか?」
- 1位 家族等の負担にならないこと 70.4%
2位 自分らしくいられること 65.3%
3位 心や身体の苦痛なく過ごせること 58.5%
※令和6年度第7回しまねwebモニターアンケート
(島根県民に対して行ったアンケート調査)
-
考えたこと・伝えたこと・話し合ったことは記録に残しておく。希望や想いは、時間の経過や心身の状態によって変化することがあるので、何度も繰り返し考え、伝え、話し合ったことは記録し、その都度見直して書き直す。
- 「 実際に記載されましたか?」
(「エンディングノート」や「終活支援ノート」を持っている方に対して) - 全て記載した 8.9%
一部記載した 33.9%
記載していない 55.4%
※令和6年度第7回しまねwebモニターアンケート
(島根県民に対して行ったアンケート調査) - 「 実際に記載されましたか?」
-
自分が希望する治療やケアについて、想いを伝えることや、判断ができなくなった時のために、家族などの代わりに伝えて(判断して)ほしい人を選び、伝えておく(書き残した記録を渡しておく)。
- 「自分が意思決定できなくなったときに、自分の医療・ケアに関する方針を決めてほしいと思う人、決めることができると思う人は誰だと思うか?」
- 1位 家族 91.6% 2位 親族 20.3% 3位 医療従事者 17.5%
※令和6年度第7回しまねwebモニターアンケート
(島根県民に対して行ったアンケート調査)
- 注意点
-
- ● 知りたくない、考えたくない人に十分に配慮する。
- ● 関係性ができていないのに、土足で踏み込まない
- ● 家族など代理決定者が十分に参加する。
- ● 気持ちや意見は揺れるので、何度も繰り返し行う。